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「流石ジン、付き合い長い。実は少し厄介なのがこの人に目をつけててさ。それで一人、手の空きそうな奴に頼みがあったんだ」
正直に白状すると今度はルカが目を丸くしてしまう。しかも何かを言う前から遠慮する素振りだ。
「僕の事はそんなに気にしないでよ。本当に大丈夫だから」
「大丈夫じゃない様子だから言ってるんだよ。あんなごつい男に殴られたら、それこそ怪我する。それがルカさんなら当人の問題でいいけれど、万が一客が怪我をしたらルカさん気にするし、責任感じるだろ?」
「それは、そうだけど…」
ごにょごにょとして気にしている様子のルカは、なかなか反論もできない感じだ。多分客に被害が行くことを考えてしまっているのだろう。
下手をすると店を閉じると言い出しそうな雰囲気まである。
「人を出すのはいいが、何させる?」
「この人の店で小間使いと、なんかあった時に俺とジンの所に走ってもらう。俺が間に合えばいいんだけど、言い切れないしな」
「あの、本当にそんなに気を使って貰わなくても…」
「はーい! それなら俺がやりたい!」
元気よく手を上げたのはレオだった。彼はちょこんと前に出て、ルカに手を差し伸べる。
「掃除や店番、買い物なんかはお手の物。足も速いから直ぐに助けを呼べるよ。報酬は三食と寝床でどうかな?」
「え? あの、でも…」
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