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ファウストはまじまじとレオを見る。素直そうな子で、明るく人見知りもない。さっきの働きをみると、仕事にも熱心で意欲的に見えた。
だがそもそも、なぜこんな話になったのか。ファウストとしてはそこを聞きたいのだ。
「彼には店の掃除などの雑務やお使いの他に、何か起こった時に西砦やジンの所に伝令してくれるように頼みました。俺が出られればいいのですが、捕まらない事もあると思うので」
「花街も西地区も東地区も、ある程度の道はちゃんと把握してるよ。それに俺は小さいから、大人よりも素早く人の間を縫っていける。伝令なら任せて」
トンと胸を叩くレオをみて、ファウストは驚きながらも笑いかけた。
「昨日のうちにここまで動いてくれたのか」
「静観なんて悠長な事を言っていられないように思えたので。でも今日は穏やかだったようですよ」
ニッコリと笑うランバートに、ルカも何度も頷く。そして隣のレオを見て、嬉しそうな顔をした。
「レオくんはとっても働き者なんだよ。掃除も行き届いてるし、料理の美味しい店や食材の安い店なんかもよく知ってるんだ。お客さんからも笑顔が可愛くて頑張り屋さんだって評判なんだよ」
「ルカさんとってもよくしてくれるから、俺好きだし。それに、愛想ならとってもいいよ。伊達に花街の小間使いをしてないんだ。誰にだってにっこり笑顔、商売の基本だよね」
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