606人が本棚に入れています
本棚に追加
食事を終えて食器を片付け、ランバートが動こうとしたのをルカとレオが止めた。話す事もあるのだろうと、察してくれた様子だった。
ルカが「作業部屋使っていいよ」というので甘える事とし、ランバートを連れて移動した。
「それで、内務は動きそうなのですか?」
丸椅子に腰を下ろしたランバートがすかさず聞いてきた。平静を装っているが、心配しているのは理解できる。情のある奴だ、ルカを心から案じているのだろう。
「動く事になった。既にアルダス殿が地方へと伝令を出して過去の案件を洗っている」
「悠長ですね」
「いきなり聴取は難しいんだろう。それに、地方で起こった事件を洗い出して一緒に罪に問うつもりでもあるだろう」
だが問題もある。この事件、加害者の名前が分からない。
チェスターとランバートから店に難癖をつけていた男の特徴は聞き出せたものの、名前までは分からない。だから地方の案件も酷似した事例を洗い出すことからだ。
「ブルーノ・シーブルズという男です」
「え?」
低く、どこか冷気を感じる声が名を告げる。ファウストは反応が遅れて、マジマジとランバートを見た。凍るような瞳だった。深く暗く、冷たく射殺すような。
最初のコメントを投稿しよう!