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「あのレオという子は、どういう子なんだ?」
疑うわけでもなく、単純に知りたいと思った。十四歳、仕事をして生計を立てるには幼い年齢に思える。
ランバートは苦笑して、頷いた。
「小さな頃に両親と死別して、教会で育ったようです。十歳を過ぎたくらいから大人達の小間使いをして小遣いを貰うような子で、一年前には教会を出て住み込みで花街にいました。娼婦達の買い物の荷物持ちや配達なんかをしていて、それなりに可愛がられていましたよ」
「辛い思いをしたのだろうな」
小さな頃に両親を失う。その辛さはファウストも人ごとではない。
母親が死んだのが十歳だった。そこから父親に引き取られてシュトライザー家に入ってからは、辛い日々だった。
腫れ物に触れるような対応、父は引き取ったくせに無関心、兄とは折り合いが悪く、今は亡い継母は冷たかった。
「レオは周囲と上手くやれる奴なので、可愛がられていましたよ。それでも、寂しさなどはあったとは思いますが。あいつ、基本笑顔なんです。そうする事で周囲との摩擦が軽減されることを知っているので。嫌いな相手にも、苦手な相手にも愛想良くするんです」
「十四でそんな処世術を身につけなければいけなかったのか…」
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