ヤケクソで神社にクリスマスプレゼントをたのんだら――

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ヤケクソで神社にクリスマスプレゼントをたのんだら――

 平岡壮太は、ふて寝をしていた。  これといって、なにかあったわけではない。なにもないから、ふて寝をしている。いつもどおりすぎるから、ふて寝をしようと考えたのだ。  目覚めたら枕元にプレゼントがある、なんて夢見る年頃を、とっくに過ぎてしまった二十歳のクリスマス。年齢イコール彼女いない歴の壮太にクリスマスの予定はない。友人との約束もない。ついでにいえば、バイトもなかった。大学の授業はあるが、行く気にならない。 「あー」  ごろりと寝返りを打って、壮太は薄いカーテンの隙間から差し込む朝日に舌打ちをした。お金を節約したかったので、カーテンはレースのカーテンとセット売りをしていた、格安のものを使っている。だからしっかり閉じていても、生地が薄いので陽光を透かして室内に送り込んでくる。その上、サイズがすこし合っていないので、隙間からも灯りが入ってくるのだ。  いつもはそれが目覚まし代わりになっていいと思うのに、今日はとってもうらめしい。  それもこれも、今日がクリスマスだからだ。  クリスマスは罪深い。  昔はとても、うれしい行事だった。だが、成長するにつれて、壮太にとってはモヤモヤするものとなった。     
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