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生徒が帰った、日が落ちた頃、寺田先生はある教室へ向かっていた。
その教室のクラス担任である、倉知先生に話があったからだ。
ちょっと話があると、朝から人に知られないように何度か頼みこみ、渋々とは言え、何とか生徒たちが帰った後で話す約束をとりつけた。
教室に着くと先に倉知先生が来ていたので
「すいません、お待たせしました。倉知先生」
と寺田先生はまず詫びてから話を始めた。
「例のDVD、持ってきて頂けましたか」
寺田先生は出来るだけ愛想良く倉知先生にそう尋ねた。
「しょうがないですね、先生も。先生のくせに…ハハハ」
倉知先生はそう言うといささか下品に笑った。
寺田先生は黙ったまま、倉知先生から女生徒の裸が写った写真がカバーになっているDVD数枚を受け取った。
そして少々厚めの封筒を内ポケットから出すと、それを倉知先生に渡した。
「毎度あり。どうもすいませんね」
倉知先生はさっそく封筒の簡単に折ってあるだけの蓋を開け、中に入っていた多目の札束を数えはじめた。
「確かに。150万。でも先生も好きですね。それに結構さっと自由になる貯金持ってるんですね。またよろしくお願いしますよ」
倉知先生はそう言って、ニヤニヤしながら寺田先生を見た。
「これで全部ですよね。倉知先生」
寺田先生は静かに口を開いた。
「はい、全部ですよ。でもまさか完売すると思ってませんでしたよ。ネット配信もしたかったけど、先生が買い占めちゃったから、もう無理ですな」
「ではもう吉沢さんに援交だとかこの手のものに関わらせるのは一切やめてくださいね」
寺田先生は語気を強めた。
「いや、それがね、彼女おこずかいが足りないらしいんですよ。だからこれからもちょくちょくは…」
「話が違うじゃないですか!」
寺田先生はさらに語気を強めた。
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