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まるで背中から飛込むように倉知先生は身体をアップ、アップさせていた。
それに気づいた寺田先生は、急いで倉知先生の身体を支えようと猛ダッシュで窓辺へ走ったが、一瞬遅かった。
うわあーっ、という一瞬の悲鳴の後、倉知先生はバランスを崩し、背中から飛込むように校舎の下に急降下してしまった。
窓辺へ遅れて辿り着いた寺田先生は、校舎の下を見たが、この校舎の三階から落ちたんじゃ助かるわけがなかった。
おまけにここの校舎の真下はコンクリート張りになっていた。
殺してしまった…。
寺田先生はしばらくショックで動けなかった。
この上は駅前の警察署に自首して、全てを警察に話そう、我ながら感情的になって自分を見失ってしまった。
生徒たちにも、また教師としても、人間としても恥ずかしいことをしてしまった。
そう思うと寺田先生は、ますます意気消沈してしまった。
しかし例のDVDが置いてある教壇へ向かい、そのパッケージの裸の女生徒、吉沢由美子を不意に目にした時、ハッと自分のすべきことに寺田先生は気がついた。
自分は絶対に捕まってはいけない。
彼女の秘密は絶対に私の胸の中で納めておかなくてはいけない、どんなことがあっても…。
と強く悟った。
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