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「なんですか警部補」 刑事らしくない白髪に耳にピアス、その上なかなか今風の顔立ちをしているくせに、なんともやぼったい地味なグレーのスーツに地味なネクタイをした若い刑事・塚本は、越前屋に呼ばれて渋い顔をして刑事部屋の越前屋の席にやって来た。 何故か妙に表情が冴えない。 「君は相変わらずアンバランスな男だな」 越前屋は見たままをそのまま口にしたが、塚本本人は何のことだかわからないようでポカンとしていた。 「で私にしか出来ない任務というのはなんでありましょうか」 へりくだってそう言っても、塚本の顔にはやりたくねーよ、とはっきり書かれていた。 「そう暗い顔をしないでくれたまえ。この間みたいなことはまずないから。あ、そう言えば君、僕と捜査で組むコンビから外してくれって申請したそうじゃないですか、課長が言ってたよ」 「そりゃそうですよ、警部補から頼まれること全部やってたら死にますよ、私。私は自衛隊員でも着ぐるみの正義のヒーローでもないですから、この間だって…」     
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