序章 月下の剣戟

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 その大量の魔素と突進が大地を裂き、森の木々を蹂躙し、壊滅させる。その規模は人の知り得るレベルではない。これこそが、人類が恐れ、人類を滅ぼそうとする魔獣の力。 「やるしかない!」  双剣士は魔獣へ特攻する。大地を抉りながら向かってくる魔獣の前へ。 「やめろ!今のお前じゃクラスSは無理だ!」  大剣士は叫ぶが大地を裂き蹂躙する魔獣の音によってその声は双剣士には届かない。 「はぁぁぁぁあ!!!!!!」  神速で魔獣へ迫る。しかしそれは叶わず、周囲の大量の魔素が双剣士を囲んだ。  魔素は禍々しい気配を漂わせる。突如変形し、闇より深い混沌(こんとん)を想像させる色の(やいば)に変わる。  百を超える魔素の刃が双剣の青年を襲った。  双剣士は目には捉えきれない速さの剣で刃を切り裂く。が、切りきれなかった刃は双剣士の身体を裂く。 「がはっっっ!!!!」  双剣士は全身を切り裂かれ、口からは大量の血が飛び散った。  血を全身から流しながら双剣士はその場に倒れた。 「ちっ!この際仕方ない。未完成だがお前を救うにはこれしかない!」  大剣士は双剣の青年が倒れたのを見て、高速で唱え始めた。 「我は空間の支配者 距離を無へ変換する者 我命ずれば(くう)を切り裂く 疾さを与えん【空間疾裂(ステイアム・ゲイル)】!」  すると突如現れた風が双剣士を包み込み、瞬間その姿は消えた。     
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