4

2/2
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
僕は家に帰ると、必ず手を洗うことにしている。たいして汚れているわけでもないし、別にご飯を食べる前に手を洗わなくてはいけないとか、そういうことを気にしているわけではない。 ただ何となく、洗えば洗うほど罪が流れてゆく気がした。罪を感じているということもない。 でも、"アレ"になってしまった彼女達にも未来があったのだと考えると、時々息が出来なくなる。そして、それがクセとなり僕はまた夜な夜な"アレ"をつくりに行く。 ――僕には姉がいた。4歳年上の僕のたった一人の姉。小さい頃はよく僕の手を引っ張って遊んでくれた優しい姉。背中まで伸ばした黒髪を切りそろえていて、肌が真っ白で、右目の下にホクロがあって…周りにも褒められるくらい綺麗だった自慢の姉。夜の街灯に照らされて、首筋から血を流して、白かった肌も青白くなっていた連続殺人の最初の犠牲者となったかわいそうな姉。僕は犯人を知っている。何故なら犯人は……
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!