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僕は"アレ"をつくっているとき、しばしば水中を漂っているような、ぼーっとした感覚に陥ることがある。背中にナイフを突き立てる行為をただただ作業のように繰り返していたり、飛び散る紅をひたすら無感情に見つめていたりする。最近は楽しいと感じることもない。出来上がったものを見て初めて、美しいと感じることができる。つくる過程はつまらないものだけれど、出来上がったものは美しく、すぐ壊れてしまうのが儚くて愛おしい。僕の感情はそのように構成されているようで、それ以外に興味は全くもってなかった。
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