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俺は友人が多いわけではないが、人並みに付き合いはできているつもりだ。腐れ縁のやつがいたりもする。まぁ、男なのが残念だが。
「なぁ? 聞いてんのかよ。俺のどこにモテない要素があるんだと思う?」
また合コンに失敗したらしい。俺と***は大学生になってから早2年たつが、***は入学してからずっと2週間に1回のペースで合コンをしている。そして、そのたびにみごとに惨敗しては、俺をこうやって質問攻めしてくる。
「きっと***のこういうしつこいところを女子は一瞬で見抜いているんだよ」
「お前はいいよなぁ。×××と仲いいじゃん。あいつ目つき悪いから男は近づきたいなんて思わないけど、実際美人じゃないか!」
あぁ。こいつは彼女の趣味の話を聞いたら、どんな反応をするだろうか。
「うん。でもね、女を顔だけで決めるといつか痛い目を見るよ……」
と趣味を語るときの彼女の表情を思い出してげんなりとしながら答えた。
×××がこちらに歩いてくるのが見えたので、俺は踵を返した。
「ちょっと。待ちなさいよ。お願いがあるの。本屋に行くのを付き合ってほしいの」
「いやだね。俺が君の趣味に付き合う義理はないよ」
「……そう」
うん。相変わらず冷めたやつだな、×××は。すでに背を向けようとしている×××に俺は
「……冗談だよ。俺の講義が終わってから行こう」
と言った。
待ち合わせ場所のベンチに×××が座っていた。どうせまた、趣味の悪い本でも読んでいるのだろう。少し伏せた顔に長くて黒い髪がかかり、カーテンのようだと思った。
「さて、どこの本屋へ行くんだい?」
「駅前の。それと行きつけの喫茶店」
喫茶店に行くとは初耳だ。しかし、彼女がすでに歩き始めている時点で俺に拒否権はないようだ。
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