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「おい」と、後ろから***が声をかけてきた。
「なんだよ。合コンなら悪いが今度にしてくれよ」
「ちげーよ。×××がお前を探してたぞ」
そういえば、今日は朝から彼女の好きそうなニュースがテレビでやっていた気がする。
「仲のいいことだな」
「そりゃどーも。お前、用事そんだけ?」
「そうだよ。じゃあ」といって彼は、元来た道を引き返して行った。
これは、俺が×××を探せということだろうか。さんざん迷った挙句、結局帰ることにした。きっとまた面倒事だ。
「ようやく見つけたわ」
あぁ。見つかってしまったよ。ここで帰ったら怒らせそうだな。
「そんなに俺を探していたのか。携帯を使えばいいのに」
「あなた携帯開かないじゃない。特に私だと」
おっしゃるとーりで。「まぁ、そうだね」とだけいっておく。
「どこかに食べに行きましょう。そこで話すわ」
といって、彼女は再び歩き出してしまった。
「今朝のニュースを見たでしょう。私が気に入っている事件のニュース」
「あぁ。見たよ」
「あれ、私の家の近くなのよ。きっと犯人はまだ近くにいるんだわ。それでヒントになると思って、地図に今までの遺体発見場所をまとめてみたのだけれど……規則性がなくて困っているところなの」
ここで話を区切って、×××は甘いミルクティーで喉を潤わせた。
「君は犯人の目的を考えたことはあるかい?」
「なぜいきなり、そんなことを聞くのかしら?」
「考えてもみなよ。遺体の状況の共通点は必ず発見場が街灯の下であること。遺体が比較的綺麗な状態であること。この二つから犯人の目的は、ただ単に殺すことではないと思う。殺すことに快感を覚えているというよりも、殺し方にこだわりがあると思うのだけれど」
「意外ね。あなたが、そこまで考えているなんて。でも……」
「いいえ。なんでもないわ」と言ったきり、彼女は口を噤んでしまった。
彼女は気付いているのだろうか。殺害された女性達の共通点が、彼女自身にもあるということに。
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