どのくらいだろうか

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どのくらいだろうか

日々を過ごしていく中でなんとなく気にかかる誰かが目に入ると思う。 どうしたら知り得るかな。 近づける方法を。 気にかかる誰かが目に入る度に、すっと体から二酸化炭素を吐いて、また空気を吸う。 判るまでは、誰かとの距離はとてつもなく長く感じる。いつか読んだ本の解説を思い出しながら。 ほしとほしの あいだは とてもながいんだ。 思い出す度に、星に限った話じゃないと思いつつ、自分の思考の引き出しを漁る。 一部だけど、人は星と星の間を渡れた。思考と行動を重ねて。 「留学中、わからないことあったら何でも言って」 にこっと、小さな星がちかり、と輝くような顔で言った彼に少し首を傾げて、頬を軽く掻く。 ちょっと熱いなあ。 「ありがとう。俺の言葉聞き取れなかったり、通じる言葉の並びしてなかったら教えて」 「いいよいいよ。聞き取れなかったらまた聞くし、おかしかったら提案するよ」 上手く笑い返せたか微妙な手応えだけど、口角を動かすことに意識を向ける。 まだまだ拙いかなと思ったけど、ひとまず言った言葉を彼は反復して頷いてくれた。 コンビが組めたなら、ひとまず話を重ねる。 思考の引き出しから思考は出した。     
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