芽生えた想いの届く先は

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(……当然のこと。それもまた、次へつながる、私の役目だから)  メイは、これからの自分の運命を受け入れていた。  だからこそ、彼女の中に生まれた新たな思考は、そこに一つの願いを添える。 (消えるわけじゃない。いつかどこかで、この想いは、また芽生える)  そのために、メイという存在の再構成が、始まろうとしているのだから。  ――ゆっくりと走り始めたプログラムが、段階的な停止処置を、メイの思考にまで伸ばし始める。 (今は、私も、この想いも……不完全だから)  対応できない処理の多さや、メンテナンスの手間に、日々のエネルギー代。  今の自分達が、人との関係を続けられるほどに、自立した存在ではないこと。  自身の存在と特殊性を、メイは理解していた。 (あなたとは、つながることのない、今だけれど)  けれど――それでも、想いを抱くことまで、割り切りたくはない。  再構成され、狭まっていく自我を認識しながら、その行く先を思考する。  メイが抱いた想いは、貴重なサンプルデータとして、仲間達の発展に役立てられるだろう。 (彼から与えられた、愛しい気持ち。未来の子供達に与えられる、私の一部)  暗闇に閉ざされる視界のなか、メイ と呼ばれたアンドロイドは未来へ願う。  データへと再構成される『恋心』へ、刻みこむように。  ――『ドール』と呼ばれる私達と、人が手をとりあい、ともに歩いていく。  ――そんな世界が、いつか、やってくることを。
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