冒険は準備から

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「おやびんが悩んでる」 ピンが言うが、軽く言うな。 「へえ、まあ」 「悩んだほうがいいですよ」 コンコルドには他人事か? 「何も悩まずに生きてるヤツより、人間らしい」 お。 「コンコルド、イイコト言うなあ」 「俺も今、そう、思いました」 君は今、減点されました。 カシリアとピンとコンコルドは、きれいに並んでないけれど、何となく近い距離で座って同じ方向を見つめる。 「姫の熊退治、すごい噂になってますよ」 コンコルドがぼそっと言う。 「げ、やっぱり?」 「伝説になるんじゃないですか?」 「記念碑建つんじゃないですか?」 ピンが適当なことを言う。 「伝説になるようなこと、してないよ、あたし」 村里に熊が出た。しかもそんな大きい熊じゃなくって、 「でも、小熊じゃなかったですよ」 まあ、若いオスだったんだけど。 「たまたま、矢が当たっただけだよ」 「そのあと、平じいの矢が当たって」 「若区長の矢が当たって」 「それで熊が倒れたんだから」 平じいと若区長が表彰された。だけど、 「サッカーでゴールした時に、」 「三人前まではそのゴールに貢献したって言うんですよ」 「三人前の選手がミスったボールを二人目が拾って」 「次の選手がゴールポストに向かって蹴ったんじゃないの?」 「これだから素人は」 うん、サッカー全然わかんない。
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