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まあ、討伐隊の中にたまたま、弓が得意な10代の女性が入ってた、てことが、ニュースなのかもしれない。で、彼女の矢もたまたま当たって害獣退治に一役かった。
「みんな暇なんで、美談にしたがるんですよ」
弓が得意と言っても、子供の頃からやってれば的に当たることは誰でもある。
「村の史書に、弓の名人とか書かれちゃうのかな?」
「いやいや、そこは話を盛ったりはしません」
「こういうのは、ちょっと離れた街なんかで噂になって、盛られて語り継がれて」
「ある時、都市伝説研究者が村に来て、ちゃんと調べればわかります」
「真実はひとつ。」
「名探偵は出てきません」
そういうものか。
「コンコルドって、頭いー」
ピンが誉めると、だろう、俺もそう思ったと返す。
「なんかさらに村に居づらくなった気がする」
元々、ここに母親の実家があったわけではなく、あたしを産んで体調を崩した母親の保養地だった。
いくつかの候補の中で、ここ、ノギに決まった。
いいとこだと思う。
全国から観光に訪れる人もなく、静かで温暖なここで、母は静かに暮らしてる。
あまり母との会話はない。思い出も。
2階の南の母の部屋のカーテンが開いてれば、今日は母が起きているんだ、と思う、だけ。
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