クリスマスなんて大嫌い

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それから 『ウチの母親、田舎のオバサンだからさ、・・・・ちょっと、その付け睫毛と口紅は・・・・』って。 私だって、付け睫毛なんて初めて付けたのに。 口紅も、化粧品店のお姉さんに勧められて初めて買った色だったのに。 『ケーキ取ってくるからちょっと待ってて? バースデーケーキ、注文してあるんだ』 可愛いお店の駐車場。助手席で一人、クリスマスケーキを求める人々の列に並ぶ彼を待っている間に涙が零れ、 私は彼の車から逃げ出したのだった。 「あれから、母親にケーキ持って行って事情を話したら・・・・、 頭、叩かれた。『お前は女心ってのが分からないのか!』って」 彼を無視して部屋に入った私は、灯りとエアコンを付けてから 3分後、玄関に戻ってスコープを覗き、立ち尽くしていた彼を玄関に入れた。 ――項垂れた男をそのままにしていては、近所に見られたら恥ずかしいし。 そう自分に言い訳をして。 下唇を少し突き出した彼は、上目遣いに私を見る。 それから思い出したように前髪に手を遣ったのは、叩かれた場所なのだろう。 どうやら相当痛かったらしい。
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