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「クライストチャーチ? ビンゴ!」
彼女はうどんを啜りながら、目を見開いて叫んだ。
「食べるか喋るかどっちかにしなよ」
ケイは呆れて笑った。「ごめんなさい」と彼女はお冷を一口飲んで、畏まると、箸を丼の上に乗せて、僕らに向かって頭を下げた。
「……実は、お二人が車に乗って、ここに来た時から、目を光らせていたんです」
「何? 俺たちを狙ってたってこと?」
ケイがカツカレーを頬張りながら訊ねる。彼女は首を縦に頷いた。
「ぶっちゃけちゃうと、そうです。あなたたちがバックパッカーに見えたので。すみません、もし、迷惑でなければ、クライストチャーチまで相乗りさせてくれませんか? もちろん、ガソリン代は払います」
「俺は別に構わないけれど……」
そう言って僕は、目の前に座るケイを見た。彼は口元を紙ナプキンで拭うと、「俺も別に構わない」と答えた。僕らの顔を順繰りに見て、彼女は笑顔になった。
「じゃあ、相乗りさせて貰えるんですね?」
「あぁ」
ケイがぶっきらぼうに答えると、彼女は「やったー」と声を上げて喜んだ。周りのお客の視線が集まったことに気付くと、恥ずかしそうに俯いた。
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