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旅行会社のパンフレットなどで、写真がよくピックアップされるニュージーランドといったら……の観光地だ。
「うわぁ、やっと着いたぁ」
車から出ると、ケイは空に向かって両手を突き上げ、大きく伸びをした。その場で軽いストレッチを始める。僕も後部座席のリュックを引っ張り出し、車のロックを掛ける。駐車場には、大型のバスが何台も停まっていた。観光客だろう団体の中には、日本人のツアー客らしき人達もいた。
頭上には雲一つない真っ青な空がどこまでも続き、季節は夏だが、日本と違って梅雨がないので、湿気もなく、空気が澄んでいて、過ごしやすい。
僕らはスマホのカメラを掲げながら、湖畔の周りを散歩した。
「有名なルピナスは残骸しかないね」
ケイは辺りを見渡しながら、かろうじて花を咲かせている青紫色のルピナスを写真に収めた。僕が手にしているポケットガイドには、湖をバックに咲き乱れるルピナスの写真が掲載されていた。
「写真と全然違う」
「時季的に、花が終わりみたいだね。まだ咲いてる花があるだけでも、運がいい」
不満気なケイを宥めた。
「ちなみにこの本によると、ルピナスは外来種らしくて、場所によっては伐採するところもあるらしいよ」
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