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「へぇ、花を入れて名物みたいになってるのに? 変なの」
思ったことをすぐ口にするケイは、ルピナスをじっと観察していたかと思ったら、立ち上がり、湖畔に建つ石造りの教会へと駆けて行った。
「フォトスポットを回ったら、飯にしよう。マジで腹減ったわ」
ケイの意見に頷き、彼の背中を追った。
テカポ湖の近くにある日本食レストランに入った。学食の食堂のように、長テーブルが並ぶ席に、ケイと向かい合って座る。
「テカポ湖の水って、何で温泉の素を入れたみたいな色なの?」
メニューを見ながらケイが訊ねる。
「氷河が削った岩石の粉が溶け込んでいるみたいだよ。By ウェキペディア調べだけど」
「さすがアオイちゃんだよ。ガイドいらず」
ケイの質問にスマホでさっと調べて答えると、感心したような表情で、僕を見つめる。
「さすがって、書いてあるのを読んだだけだけど……」
「何にするかな? 結構メニューの種類があって迷うな」
僕の呟きは聞こえなかったらしく、ケイはメニュー表を再び覗き込んだ。
「ここ、サーモン丼が美味しいんですよっ!」
同世代位の日本人女性が隣に座ったと思ったら、満面の笑みで僕らに話掛けて来た。
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