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「俺、委員長の佐野 優馬よろしくね。」
そう言って佐野と名乗る男子学生は東雲に右手を差し出した。東雲は彼の方を見て嬉しそうによろしくと返すと勢いよくその右手を握り返した。
「入学から風邪なんて災難だったなぁ 少し気まづいかもしれないけどなにかあったらサポートするからさ! そんなに気 張らなくていいよ」
「お、おぅ ありがとうな」
これが、東雲 徹と佐野 優馬の出会いであった。
それからというもの流れで二人はずっと一緒にいるようになり前期が終わるまでにはお互いに気を使うことのないような仲にまでになっていた。そして、単純な人と言われればそれまでなのだが、東雲は初めて学校に行った時をきっかけにどんどん佐野と仲良くなるにつれて彼の佐野に対する好きは友情から愛情に変化していて、また彼もそれを自覚していた。
でも、彼はその気持ちを佐野に打ち明ける気はなかった。でもそれを変えるきっかけとなったのはふたりが高校二年生になった学校祭の打上げの日。その夜、東雲と佐野はスマホを使って通話をしていた。最初は普段通りの何気ない話をしていたのだが突如、佐野は何だか口調が重くなり様子がおかしくなった。
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