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「ちなみにこれを持って来てくれた方の連絡先とかってわかります?」
駆が聞くと、石山さんは「あぁ」と思い出したようにポケットから名刺を取り出した。
「もしも小夏ちゃんのじゃなかった時のために名刺もらっておいたんだよ。何か気になることがあるなら連絡してみな」
取り出された名刺が駆の手に渡る。そこにはよく見かけるカッチリとした字体で会社名や名前が入っていた。
「ありがとうございます。連絡してみます」
駆がそう答えると、石山さんは手を上げて歩き出した。その背中にお礼を言って、送り出す。
改めて駆を見ると、駆もまた小夏を見ていた。視線が交差しているのに、お互い言葉が見つからない。数秒の沈黙の後、駆は決意したように言った。
「俺は今からこの住所に行ってくる」
「え!?」
突然の展開に驚きを隠せなかったが、駆の顔は真剣そのものだった。昔からこう言う時の彼は意見を曲げたりはしない。
「何かよくわかんないけど、ちゃんと会って話を聞いた方がいいような気がするんだ」
クリスマスイブの青空にその言葉が響く。小夏も大きく頷いた。
「私も行く」
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