デオキシス

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既に夕食を済ませ、お茶を飲む祖父母の傍らで食事をする。 話し掛けられても、ぼんやりしていたのだろう、祖父が穏やかな顔をして言った。 「あんまり根を詰めるなよ。お前一人学校に行かせるくらいのことは、心配しなくても大丈夫だから」 「うん、ありがとう。頑張るから…」 「ああ」 勉強は手につかなくなっている。 「まぁは気遣いの人だから…そんな顔したらまぁが可哀想」 俺はどんな顔をしていた? 真守の優しい気遣いに気がついていないみたいな顔? 俺は圧倒的に言葉が足りないのはわかっている。余計なことは言わないようにしているうちに、いつの間にか言わなくてはいけないことまで言葉にしなくなっている。 そして、多分、優しさが足りない。 足を打撲したのは聞いた。 「そそっかしいな」とは言ったが、大丈夫か?とは言わなかった。 痛みを圧して待っていてくれたのだろうか。 「どうせ閑にしてるんだろ」じゃなくて、 「気分転換に」じゃなくて、 真守と一緒に行きたいからと何故言えなかった。 何気ない言葉。 何気ない気遣い。 何気ない優しさ。 他の誰からもそんな風にされなかった。 だから、そんな風にもして来なかった。 真守の周りにはいつも誰かが居て楽しそうに笑っている。教室でも、部活でも、放課後でも…。それは多分、真守の持つ空気感、真守の作る輪。 だから、当たり前だと思っていた。 俺に対しても、真守が笑顔を向けるのは当たり前だと…。 どうしたら、いつもの真守に戻ってくれるのだろう。
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