第1章

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 加奈子は胸ぐらから手を離すと個室へと歩いていく。 「あの、 大丈夫ですか?」  店員に聞くとにこやかにうなずいてみせる。 「ええ。 もちろんです。 良いクリスマスプレゼントが見つかるといいですね」  店に入った時から一度も崩れない笑顔を向けてくる。 「兄さん。 何しているの」  加奈子に呼ばれる。 店員も奥へと向かうように手で促していた。 俺は後ろ髪を引かれる思いながら個室に向かう。  小さな部屋にはテーブルがあり、 向かい合わせに椅子が置いてあるだけのシンプルな部屋だった。 加奈子が椅子に座り俺はその横に立つ。 すぐに箱をいくつか持ったスーツ姿の男が部屋に入ってきた。
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