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土井はにこやかな顔のまま悪びれもせず言う。
「何なんだ」
「それより、
偽物ではなく本物を出していただけるかしら?」
「本物はこちらになります」
土井が違う箱を差し出してくる。
黒く小さい箱だがシンプルなデザインで箱の質も上等の物だった。
箱を開けて中の品質保証書を隅々まで読む。
今度は本当に本物のようだった。
「それで、
いくらですか?」
「そうですね。
25でどうでしょう?」
「はっは。
土井さんは確か小学生になる可愛い娘さんがいるらしいですね」
「ええ」
「最近は田舎でも物騒ですからね。
行き帰りの通学路に通っているあの辺りは夕方になると随分暗くて人通りが少ないって知っていましたか?」
土井の表情が笑顔のまま僅かにひきつる。
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