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「20でどうでしょう」
「10」
二人はにこにことしているが間の空気が凍り付くようにぴりぴりしている。
「あはっは」
「うふふふ」
先に折れたのは土井だった。
「負けましたよ。
10でお売りいたしましょう」
「ありがとうございます」
「今、
包装させますので。
少々お待ちいただけますか。
あと、
高額の商品ですのでこちらの紙にサインをいただけますか」
土井が時計の包装を始める。
「一体何なんだこの店は」
わずかな時間の間に全力疾走したような疲労感が残っている。
「この辺りの地域ではこれぐらい日常茶飯事よ。
商談は戦いなのだから。
兄さんも社会人なら分かっているでしょ」
「いや、
ちょっと俺の知っている社会と乖離が凄い」
加奈子が紙にサインし終わったところでちょうど包装が終わったようで土井が時計を袋に入れて渡してくれる。
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