第1章

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「このあたりは結構栄えてるんだな」  周りを見渡しながら言う。 「田舎だから一カ所に主要施設が集まっているんだよ。 でもそんなに不便してないよ。 ここにくれば大体の物は揃うからね」  にこやかに笑う加奈子の顔を見て安心する。 新しい場所の生活にもどうやらなじんでいるらしい。 「それで、 クリスマスイブに兄貴を呼びつけるなんて一体何の用なんだ?」 「いや、 直人にクリスマスのプレゼントを買おうと思ってるんだけど手伝ってもらおうと思って」 「旦那のクリスマスプレゼントなんて自分選べるだろうに」  俺の言葉に加奈子は苦笑する。 「ま、 一度兄さんと直人をちゃんと会わせたいっていうのもあるよ」  直人君とは結婚の挨拶を死に来た時や結婚式の日に何度かあっているがどちらも慌ただしく時間が過ぎてしまってゆっくりと話をしたことが無かった。 きっと、 プレゼントを渡すどうこうと言うのは口実で、 直人君と俺の顔合わせがメインの用事なのだろう。
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