ドアを開く

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星崎潤の話 もらったのは掌にちょうと収まるくらいの箱だった。 ラッピングをはがして箱を開けると、中にはメカニカルなデザインの金属製のキーリングがあった。 「キーリング、丁度探してたんです。ありがとう」 「うん、そうかなと思って。使ってね…」 今使ってるのが大分傷んできてたから、買い替えようかと思ってた。ちゃんと見ていてくれたのが嬉しくて掌のそれをそっと握った。 ユウヤさんを見ると何か言いたいのか視線をこちらの手元に移して唇を動かした。 「あのさ…」 そこから言葉が続かない。 黙っていたのは数秒か数十秒か。視線を逸らした顔からは何のメッセージも読み取れず、いつもは平気なはずの沈黙が窮屈に感じて、耐え切れずこちらから口を開いてしまった。 「これ、ユウヤさんのキーリングと同じデザイナーですか?」 言いたい事が見つからない時に何か言っても、その居心地の悪さは相手に伝わる。困った顔をしたユウヤさんを見た瞬間、話すタイミングを邪魔した事を後悔した。 「そう…、さすがにお揃いとかはね、職場にバレても困るでしょう?」 少し笑いながら冗談にしてくれたけど、表情は相変わらず固いまま。     
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