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混乱をようやく抜け出したその瞳には、揺るぎない使命の炎。
「あなた、『神様』って言った。『封神のフィラ・フィア』って言った。それでわたしは思い出したの。かつての使命、秘めた思いを」
その言葉にはっとしたように、ファレルが何度か瞬きした。その様を見つめながらもフィラ・フィアは問う。
「教えて。あれから4000年も経ったらしい今でも放埒を続ける神々について。飽くなき戦神ゼウデラはいる? 無邪気なる天空神シェルファークは? 悲しみの風神リノヴェルカは? 闇の亜神アークロアは? 空虚の天空神セロウィスは? 憤怒の水女神アスフェリーナは? 残酷なる運命神フォーチュンは? 彼らはまだ封じられてはいないのでしょう? ねぇ、どうなのよ?」
彼女が口にした数々の名前は、遠い昔封じきれなかった神々の名前。危険なゼウデラを真ん中にしようという計画だったけれど、ゼウデラ戦でメンバーが崩壊してしまったから、本来封じるはずだった他の神々はいまだに封じられていないままだ。
「君は」
ファレルの驚くほど青い瞳が、フィラ・フィアを射抜くように見た。
「本気なんだね。いいよ、教えるよ。あの時代程ではないらしいけれど、それらの神々はいまだに人間と関わることをやめようとはしない。そうと知ったら君は行くのかい? また、かつてのように――封神の旅へと」
「当たり前じゃない! わたしは封神のフィラ・フィアよ!」
しかしもう一度過酷な旅に出ようとする彼女の傍らにはもう、いつかの仲間たちはいない。
でも仲間がいないわけじゃない。
「フィレル、責任取ってくれるんでしょ」
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