プロローグ 戦神の宴

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 時代はカルデイア暦6845年、今から4126年も昔のこと。旧暦であるカルデイア暦を使っていることからも時代の古さがうかがえる。暦が新暦であるシエリアに変わったのはざっと1000年ほど前だ。  その時代、人間と神々は頻繁に関わり、しかし同時に神々が人間を虐げている時代でもあった。 もちろん人間と良き関係を築こうとする神もいるにはいたけれど、そのうちもはや見過ごしにできない規模で人間を虐げる神々が現れ始めた。  その数は11体。  彼らは古王国カルジアの王アノスによって「荒ぶる神々」との認定を受けた。しかしいくら認定されたと言ったってそれで何ができるわけでもなし。時代は暗黒時代に突入する。丁度そのころ時の予言者スタルウィが、近い未来、神さえ封ずる舞を舞える「奇跡の子」が現れるだろうとの予言を残したが、一筋の光明も見当たらない暗黒時代、それを信じる者はいなかった。  されど物語は動く。  ある時アノスの妻リティスが一人の子を産んだ。その子は美しい姫君で、フィラ・フィアと名付けられた。  それから数年。6歳になったフィラ・フィアは、自分が生まれながらにして不思議な舞が舞えることに気付く。  そして彼女は知った。スタルウィの残した予言を。自分がその「奇跡の子」なのではないかと危惧した。それについてスタルウィに相談したら、まさにあなたこそが「奇跡の子」ですと言われ、フィラ・フィアは妙に得心してしまった。  そのことを父に明かした彼女は以来、必死で様々な勉強をするようになる。それはいざ旅立った時に使える、野営や交渉術などの実践的な訓練。  そしてフィラ・フィアが16歳になったある日、ついに運命の日が訪れる。  それまでに知りあった心強い六人の仲間とともに、「荒ぶる神々」を封ずる旅に出る日が。  大切な仲間を三人も失いながらも、やがて彼女らはたどり着く。  戦神ゼウデラ、最も危険な「荒ぶる神」の神殿へ。  その果てには別離の予感があったが、臆することなく前へと進んだ。ここに至って臆しては、今まで死んでいった人々が報われないから。  フィラ・フィアはすべてを背負う者だから――。   ▼
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