03

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「あー。試合負けちゃったー」 私と榊原瑠璃の前で思い切り肩を落とす聖未来。夏休みの大会が始まり順調に勝ち進んではいたが、残念なことに金井女子中の夏は終わってしまった。 「もう。未来!元気だしてよ!来年また頑張れば良いじゃないの?」 私が未来を慰めようとして放った言葉は逆効果だったらしく、今までため息ばかりついて学校の自習室で夏休みの宿題を広げたままそこに頭を倒していた未来はバンッ!と音を立てた。 「来年にはもう先輩はいないの!!」 未来は勢いよく立ち上がった。彼女の余りの勢いと剣幕と声量に驚いてしまい、未来に合わせて顔を机に下げていた私はビクッと姿勢を正してしまった。 「ごめん。そんなつもりで言ったんじゃなくて」 「あー。えーっと。こちらこそごめんなさい。大きな声を出してしまって」 未来は胸の前に両の手を出して左右に降る。そして立ち上がった時に勢いよく倒してしまった椅子を戻して席に座る。 「でも楽しかったんだよねーあのチーム。終わっちゃったけどさー」 私は部活をしていないから、その寂しさというのがわからない。色々想像してみたけれど、何となく近いものはジュンとケンと違う中学に行くことになってしまったことだろうか?でも一生会えないわけでもないし、何ならジュンは引っ越してもないから会う可能性は高いと思うのよね。だから、うん。やっぱりその寂しさというものが何なのかハッキリとはわからない。こんな時に、私のもう一人の友人はこの場にいなかった。 「そーいや瑠璃はまだ帰ってきてないんだっけ?」
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