-Still world is beautiful それでも世界は美しい-

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01 「そっか。さーちゃんは金井女子に行くんだ」 「うん」 「女子中なんだよな?さやは頭いいもんな」 「うん」 「ケンも引っ越すんだろ?」 「ああ。美命の体調を考えて、病院と親父の職場に近い家に引っ越すんだと」 「みんなバラバラだな」 「ジュンピ寂しいの?」 「少し」 「ジュンが素直だなんて、珍しいこともあるもんだな」 「最後くらいいいだろ?」 「最後じゃないよ。また、会えるよ。だって私達友達じゃない」 「ま、ジュンもサヤも引っ越しはしないし、俺も引っ越すって言ってもそんなに遠くない。だからさ、簡単にはいかないかもしれないけど会えるって」 「そうだな。なぁ。俺達次に出会った時は、お互いをより解り合えるよな?」 「そりゃそうだろ?」 「今よりも大人になってるんだし」 「だったらさ、約束しようぜ。俺達。どんな時でも────いるって」 「当たり前でしょ?」 「今更何言ってるんだよジュン」 これが、小学校卒業の日の出来事。一番仲が良かった友人との別れ。そして私は私立の女子中に入学した。 「oh!my daughter。素敵な制服姿だねー!!」 私が制服を着て玄関にある姿見で再三確認していると、陽気な父がやって来て、大きく手を広げて私を抱き締めた。折角整えた頭をぐじゃぐじゃされてかなり腹立たしく、鬱陶しい。張り倒してやろうかとも思ったけど、母がやって来たので、軽く押し退けるくらいで許してやることにした。 「おはようお母さん。どうかな?」 「うむ。似合っているぞ紗綾。君は今、世界一美しい中学生だ。胸を張って登校するといい」 母は父とは違い優しく髪を撫でる。綺麗に髪を溶かしてくれた。口調は少し厳しめだが、それは己の行いに自信を持っている証拠でもあり、また実際に清く正しくかっこいい。父とはまるで正反対の母が私は好きだ。そんな母に少しでも今日認められた気がした。それがとても嬉しかった。 「うん。お母さん。ありがとう。行ってきます」 私は胸を張って玄関のドアを開けてこれから通う『金井女子学園 中東部』へ入学する。
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