3人が本棚に入れています
本棚に追加
「未来。私美術部に入ることにしたから」
「えー。瑠璃もうきめたのー!」
彼女は『榊原瑠璃』聖未来と仲が良いようで、よくともに行動するのを見かける。彼女は聖未来と比べて大人しいというか、大人っぽい印象を持つ人で、掴み所の無い人だった。私とは違った意味でクラスから浮いた存在だった。そして何より、彼女はとても美しい女の子だった。
「もう五月も終わりよ?そりゃあ決めてるわよ」
フフッと笑う彼女はお淑やかで、清楚で、可憐で麗しい百合の様な娘だった。
五月が終わり六月になった。私は結局部活には入らなかった。運動は苦手ではなかったけど特に好きって訳でもなかったし。いつも私を誘ってくれた聖未来と、その友人の榊原瑠璃の二人と親しくなり、友人となった。中学に上がって初めて出来た友人。そんな二人の友人を部活が終わるのを待つのが私の日課となり、また楽しみになっていた。
「それじゃあ紗綾。また後でね」
「うん。頑張ってねサッカー」
「おう!試合も近いし頑張るぞー!」
二人を待っているときは未来のサッカーを見ているか、美術室で瑠璃の絵を描くのを見ている。
美術部は作品の締め切りまで絵を出せれば問題ないらしく、その為他の部員は美術室に瑠璃だけしかいないなんてことは珍しくなかった。
とは言え、当の瑠璃も美術室には画材だけを取りに行って後は好きな場所に行って絵を描いている。
絵を描く為の感性を高め、色々な物を見るのは必要な事のようだからずっと美術室に籠る必要も無いのだろう。テーマを決めて下書きやデッサンをしてから仕上げの為に美術室に行くのが主らしい。
瑠璃が今進めている絵は未来の部活をする姿。だから今日は
「紗綾。お待たせ」
瑠璃と二人で未来の部活を見ていた。
ただ見て待っている私と違って、瑠璃は部活の一貫でついて来ているのだからそんなことを言ったら怒られてしまう。瑠璃は美術準備室に置いている画材を持ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!