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「いえ。ていうか、行くものだと思ってたから今更そんなこと言うんだって」 瑠璃は眼をつむりやれやれと言う顔をして首を横へ降った。ついでに右の掌を天に向けていた。 「え!?そうだったの?もー早く言ってよ」 「ごめん。友達の初試合だから当然行くわよ紗綾」 そう言って瑠璃は優しくにっこりと微笑んだ。とても優しい顔で笑う人だなと改めて思う。 「ありがとう。当日はお弁当でも作っていってあげようかしら」 「……」 私が上機嫌でそんな提案をすると瑠璃は私の方を黙って真顔で見詰めてた。というか、見定めていた。 「どうしたの?」 「紗綾。貴女お弁当。いえ、料理の嗜みは?」 彼女の質問の意味がわからず正直に 「特には」 と答えると、またも溜め息をして、右手で頭を押さえている。 「それじゃあ私が作るから」 「……どうして?」 フフっと綺麗な顔で可愛らしく笑った。 「出来ない人がやってもそれは時間の無駄でしょ?あげる側も貰う側も得しないし」 瑠璃はたまにサラッとこういう毒を吐く。しかも笑顔で。悪意が無い分余計にきつい。でもルリは優しさで言っているのだから、もう何も言わないでおこう。こんなルリだ。きっと怒らせたらとても怖いのでしょう。 「でさー。ちょっと擦りむいちゃったわけよ」 「もう無茶ばかりして。大怪我して出られなくなったらどうするのよ?」 この間あったらしい練習試合で少し無茶なプレイをし怪我をしてしまったらしい未来。それを心配する私と瑠璃。ごめんごめんと頭を掻きながら苦笑いを浮かべる未来。本当にわかっているのだろうか?
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