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「あれ?秋瀬さんじゃない?」
目の前の女が紗綾に挨拶をしてきた。制服をみる限り金井女子のもので間違いないし、紗綾の同級生だった女であることは想像に難しくない。ただ、引っかかる言葉が出てくるのはこのすぐ後だ。
「ホントだ秋瀬さん」
「中二からだから二年ぶりだよね?」
三人いるこの金井女子の一人が二年ぶりだと言う。それも中二から会っていないみたいなことを。そんなハズはない。仮に金井女子を辞めたとしても、地域的に俺の通っていた北神第三中学に通うことになるハズだ。そこに来ないとなると引っ越したのか?それとも別の私立中学に入ったのだろうか?いや、どちらもないだろう。帰る方向も子供の頃と変わってないから引っ越しはしていない。別の私立中学に入ったのならば、公立の北神に進学するのも不自然な気がする。
「あーでも、たまーに来てたっけ?」
「卒業式も一応出てたよね」
ケラケラと下品に笑うこの女達の態度と『たまに来ていた』と『卒業式には出ていた』の二つの言葉。そして隣で青ざめている紗綾の顔でわかった。そうか。そういうことかよ。
「てゆーか、秋瀬さん。まーたそんな可愛い女の子三人も連れて。しかも一人はコスプレ女子だなんて趣味全開ね。そちらの大柄の彼はカモフラージュかしら?」
わなわなと震える紗綾。明らかにこの女達に怯えている。カナとアユもそんな紗綾を見て不安な顔をしている。大丈夫?と二人で紗綾の肩を支えてあげていた。その間もこの女達はケラケラ笑っていた。虫酸が走る。俺の低い沸点が限界に来る寸前のところで
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