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「ごめんなさい。僕男なんだよね」 ヒカリは前に出てこの女達に弱々しく笑って言った。 「えー?そうなの?こんなに肌が白くて華奢な体で背も低いから女の子かと思った」 「てゆーか髪の毛も真っ白だし眼も真っ赤ね。カラコン?おまけに腰になにか巻き付けてあるし。コスプレ男子なのね。可愛いー」 またこの女達はゲラゲラと下品に嗤うのだ。コイツ等。ヒカリまで虚仮にしやがって。もう許さない。しかし俺が拳を握りしめて一歩前に出ると、ヒカリは俺の前に手を出して 「そうなんだ。僕コスプレ男子なの。ヒーローのベルトをしてると強くなった気持ちになるの。カッコいいでしょ?」 ヒカリは右手を腰に当てて、左手の人差し指と薬指を立てて所謂Vサインをして得意気に笑う。 「ヒーロー?」 「なにそれ?」 ゲラゲラと腹を抱えながら、やはり下品に嗤う。コイツ等の嗤い声は耳に、その姿は目に、存在は感に障った。それは悪意ある嗤いを俺の友であるヒカリと紗綾に向けているからだ。 しかし、俺達とコイツ等の間にいるヒカリは俺の怒りを察してか、俺に背を向けたまま手を広げて、首を降っている。 「よかったわね。秋瀬さん。ヒーローがいて。でもまたあのときみたいにヒーローはいなくなっちゃうかもね」 女達のリーダー格であろう女が冷たい声で言う。 それを聞いて他の女達もゲラゲラとまたも嗤い続ける。それに限界が来た。
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