02

10/11
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
これ以上友を侮辱されて、黙ってられる程、俺は我慢強く無い。その俺の憤りの空気を察したであろうカナとアユは心配そうに俺を見つめる。それはヒカリにも当然伝わっていて、ヒカリも同じ顔をしていた。わかってる。無茶はしない。ヒカリの肩にソッと手を置く。 「悪い。俺の“紗綾”は今日体調が優れないんだ。久し振りに会って積もる話もあるんだろうが、今日はこの辺にしてくれないか?」 するとこの女達は嗤いを止めて 「ふーん。俺のね。今は男と付き合ってるんだ。まぁどうでもいいけどね。それじゃあね秋瀬さん」 それだけ言うとこの女達は去っていった。紗綾は安心したのかその表情はさっきと比べて、いくらかマシだった。とは言えかなり疲弊している事はわかる。汗もかなり出ている。これがあの俺の友達だった『サーちゃん』なのかと思うとやるせない気持ちで一杯になる。 紗綾もそうだが、ヒカリの体調も限界に来たようだったので今日は帰ることにする。とは言え皆高校生の行動範囲内では家は近いので帰り道も暫くは同じだった。 先に別れたのは紗綾の方で何処かフラついていた。その背中を四人で見届けた。送ろうかと言う話にもなったのだが、『放っておいて』と強く言われてしまいそれ以上踏み込んでくることを許してはくれなかった。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!