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と、これがこの間の出来事。 「いやー無いわ。俺の紗綾は無いわ」 小柄な同級生が俺の席にやって来て腰に手を当ててかなり不機嫌そうな面持ちで睨み付ける。 「うん。あれが変なことじゃないと思ってないとかいったいどんなキザ男やの。ありえへんありえへん」 もう一人の同級生が首を横に降ると肩ほどまである髪もワンテンポ遅れて左右に揺れる。 「いや、だからあの時はああ言えばさ、すぐに場が収まる気がしたんだよ。つーか、収まっただろ?」 そうだ。実際あの場を最短時間で収束できたハズだ。 「ほんっと、乙女心わかってないんだからジュンは。そんなんじゃヒカリとの関係も──」 またこのヲタク娘はよからなことを言いそうな気がしたのでお約束の拳骨をかます。 「こう言うところも全然だめよ…」 カナは涙目になりながらも俺を睨み付ける。おかしな事を言ったのはお前だろうが。 「しかしまぁ、あれから選択授業で一緒になっても声かけにくなったわー」 「はぁ……秋瀬さん。あの娘達となにがあったんだろ。ジュン本当に何も知らないの?」 「わかんねぇよ」 紗綾の中学時代を俺は知らない。だけど、その俺の知らない中学時代に何かあったのはもう間違いない。それは俺だけじゃなく、口には出さないが、あの場にいたカナ、アユ、そしてヒカリにもわかっているようだった 。 そして、あの“サーちゃん”があんなに怯える姿を見たことがなかったから俺もどうしたら良いのか、わからなかった。
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