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しばらく瑠璃と雑談をしていた。内容は瑠璃の夏休みの過ごし方や両親の実家で過ごした話、私の両親の話。
「へー。お母さんはドイツの方でお父さんは日本とアメリカのハーフなのね。納得」
「 そう言えば未来も瑠璃も私の事聞きに来なかったわね。どうして?」
そう問えば瑠璃は髪をなびかせて、
「聞いてほしかった?」
と何処か芝居掛かった仕草を取った。でもそれはとても絵になり、演劇部にでも入れば良いのにと思ってしまう。
「どうかしら。今となってはどうでも良いけど」
「だったらいいじゃない。それで?言語は?」
「……日本語だけ」
「あら。意外」
「なにがよ。瑠璃の方が英語得意じゃない」
「そう言えばそうね。でも日常会話とお勉強では違うでしょ?」
絶対こんな話になると思っていた。だからあまり、両親の話はしたくないのよね。
「どーせ日常会話も出来ないしお勉強でも瑠璃には敵いませんよーだ」
口を尖らせて嫌味を言ってみる。瑠璃は眼を丸くして、すぐに口に手を当てた。
「フフっ。じゃあ私の方が紗綾よりも外国人ね」
なんていたずらっ子のように笑って見せる彼女の顔を見れば得した気分になり、さっきまで少し腹が立っていたが、最早どうでもよくなってしまった。
ばんっ!!!
「きゃっ!!」
「どうしたの未来?」
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