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「てゆーかさー。ジュンと秋瀬さんって昔一緒の小学校だったのよね?」
小柄なウェーブの髪の矢切さんがずんっと潤に近寄り、彼の事をジーっと見ている。
「そうだけど」
「なーんや。怪しいなー。何かウチ等が秋瀬さんと仲良くしたら不味いみたいな顔してるよなー」
矢切さんと同じように、望月さんも彼の方へ近寄った。
「不味くはないけどよ。その、な?秋瀬も困ってるし」
ふーんと言いながら、二人のその眼は更に潤への視線を鋭くする。そしてそれは次に私の方へ向けられた。
「なぁーなぁー。秋瀬さんとジュンちゃんは仲良かってんな?」
望月さんが今度は私に『ずんっ』と近寄った。そんな彼女に『ええ』と言う。すると今度は矢切さんが腕を組み、右手を顎に持ってきて
「もしかしてー。二人は付き合ってたとか?」
等と言う。それにまたもや潤は呆れているようだが、そんな事をこの二人は気にしていなかった。
「えーっ!!!?そうなん!?ジュンちゃんと秋瀬さんが!!?」
まだ何も返事してないのだけれども、それでも二人は話を続ける。
「そして、お互いが別の中学へ進むと同時に自然と別れてしまった。本当は好きなのに、どうしようもなく好きなのに。でも小学校を出たばかりの幼い二人にはどうすることも出来なくて、心の距離はいつしか、物理的な距離を越えてしまった。そして三年越しに──」
「長ぇよ!!!」
潤はウェーブの頭に拳骨をお見舞いした。『いったーい!!』と今度は本当に涙目になり潤を睨み付ける。まぁでも確かに矢切さんの話しは長かった。
「それでようやく二人は高校で再開を果たすわけやな」
また矢切さんの妄想に望月さんが妄想を加える。そして、現実では鬼の顔をした潤が望月さんに拳骨を喰らわせた。
「ジュンちゃんのアホ!鬼!」
「アホはお前達だ。あと鬼じゃない」
望月さんが拳骨を喰らったことで隣の矢切さんが
「よかった。私だけ一回多いのかと思ったわ」
と胸を撫で下ろした。それをぐぬぬと望月さんが悔しそうな顔で潤を睨み付けた。
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