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「お前等だっていつも楽しそうに喋ってんじゃねーか」
「そうだよ。たまには僕達も秋瀬さんとお話ししたいんだよ。二人ばっかりずるいよ」
光城くんは細い腕を組んで薄い胸板を張り、男として自らを大きく見せている。その姿がとても可愛らしく、矢切さん、望月さんは顔を赤らめていた。
「カナっち。ヒカリんが乙女みたいに可愛いねんけどこれなんて言うんやった?」
「これは“男の娘”よ!“男”の“むすめ”と書いて“男の娘”よ!!」
「それや!ヒカリんは許すけど、ジュンちゃんはアカン!」
『なんでだよ』と潤はまた二人を睨み付けた。でも二人は光城くんを盾にして舌を出している。それを見て拳を握ったままにしている潤を見て光城くんが笑った。
帰り道にどうしても行きたいところがあると矢切さんが言うので私達は仕方なく着いていくことにした。私もなんで着いていったのかわからない。暇だったからなのか、気が向いたからなのか、それとも楽しんでいたからなのかわからなかった。
そして私は後悔することになる。
真っ直ぐ家に帰ればよかったと。
「きゃーっ!もう発売されてるわ!!!」
「おー!カナっちが教えてくれたあれもこれもがたくさんある」
「お前!ここって!?」
「ジュンちゃん。変わった本がいっぱいあるね。それに何だか薄いみたいだよ?」
近くに在った本を手に取り顔を近づけてまじまじと光城くんが見ている。それを、
「見るんじゃねぇ!!」
と光城くんの持っていたソレを取り上げて棚に戻した。
着いた先はアニメグッズやゲーム、フィギュアや漫画、同人誌等がおいてあるお店だった。所謂『ヲタク』のお店だった。
その中でも一番異彩を放つ男性同士の恋愛の書籍がズラリと並んでいる。『bl』そう『ボーイズラブ』のコーナーだった。
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