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小森が鼻をすすり、
静けさの中に、
涙の流れる音さえ聞こえてきそうだった。
俺はその沈黙を邪魔しないように、パソコンの電源を切ると、席を立った。
「……それは過去形? これからも続いてくれるわけ?」
モニターを避けて小森の顔を見ると、案の定、初めて見る泣き顔だった。
「つ……続きます」
泣き顔のまま強がるように言うので笑いが込み上げた。
「そりゃ、ラッキー」
俺はバッグを持ち上げて「行くぞ」と出入り口に向かった。
「牛丼食いに行こーぜ」
俺が誘うと小森は驚きながら慌ててついてきた。
「焼肉じゃないの!?」
すっかり調子も戻ってる。
「バーカ、給料日前で金ねえんだよ」
「あ、私もだ」
小森はすっかり涙を拭いていた。
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