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戸締りをしてビルを出る。
外に出ると外気は冷えて、吐き出す息が白く舞った。
クリスマスもそう遠くない。
「クリスマスプレゼント、ちゃんと考えとけよ?」
「ただし、そう高くないヤツ」
「ケチ―」と言った小森の笑った顔は、
また少し涙ぐんでいた。
今目指しているのは牛丼屋で、
俺たち二人が並ぶと、眞辺さんと杉浦さんのように絵になる二人とはいかないが、
俺はすごく、気分が良くて、居心地がよかった。
触れそうで触れない二人の距離に、時折お互いの腕と指先が触れるのを感じながら俺は夜空を見上げて息を大きく吐き出した。
賭けで負けたはずなのに……
なーんか俺、得しちゃったのかなぁ……
「何で空見て笑ってるの? キモイよ」
見下ろした先に
俺を見上げる小森の笑顔があったーー。
――――――― Fin ―――――――
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