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四葉に出向く直前にも二人の忙しない会話は続いていた。
みんなで二人と船越さんを見送ると、少し静かになった室内に、なんとも言えない空気が生まれた。
船越さんやあの二人の慌ただしさで紛れていた緊張が、事務所に残った俺たちを包んだんだと気付いた。
「上手くいくといいよね」
小森も落ち着かないのか、事務所の出入り口方向を見つめて言った。
「大丈夫だろ。うちの名コンビだぜ?」
今回は眞辺さんの計らいで、俺のデザイン案も四葉の目に触れることになる。
期待と不安で速まる鼓動に気付かれないように、俺は余裕ぶって言った。
「そうですよね……」
小森は急に敬語になって相槌を打つと、すぐに顔を逸らして途中だった作業に戻った。
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