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俺は雪斎の話を聞いていたがやはり納得出来なかった。馬鹿らしい。そう思ってしまう。そんな様子の俺に雪斎は
「お主にはまだ分からぬか。だが武士とはそういう者だ。いつかは分かる。」
「だとしても俺はそんなの分かりたく無い。そんな自己満足な死で他の人を巻き込むより生きた方が良いに決まってる。」
俺の考えが甘いというのは分かってる。だが俺はこの考えを捨てない捨てたりするもんかと心に誓った。
「…まあ良い。では話を続けよう。当主となった義元様は武田と和睦した。武田信虎はこちら側についただけではなく恵探側で武田領内に逃げ込んで来たものを匿った物を皆殺しにした。元々武田と和睦するつもりだった義元様はこの信虎の処置に感謝し武田と和睦することになった。この際信虎が娘を送り義元様と結ぶことになった。この信虎の娘がお主の母だ。」
「え?マジ?そうだったのか。全く知らなかった。」
皆殺しと言う暗いワードを吹き飛ばす衝撃の真実に思わずマジ?と返してしまった。
「まじ?お主はたまに分からぬ言葉を喋るな。しかしお主は本当何も知らんな。」
「五月蝿い!しかし武田と和睦したならこれで今川は安泰だな。」
「そうは問屋が卸さぬというものだ。」
え?まだあるの?今川家波乱過ぎない?と思ったが声には出さなかった。
「北条が今川と武田の和睦に抗議をしたのだ。」
「なんで北条が?だってどちらも父上を支援して軍まで出していたじゃ無いか。」
「そも武田は山内上杉と結んでおり度々相模に侵攻しており北条と敵対していた。あの争いで両家の支援が重なったのはまったくの偶然だ。」
「偶然なのかよ…」
そんな偶然あるのか、と呆れてしまった。雪斎はそんな俺を無視し話を進める。
「北条は今川との盟を破棄し駿河に侵攻した。家督争いが終わったと言っても国内はまだ安定してなかった。侵攻した北条軍により興国寺城は焼かれ義元様が派遣した今川軍が敗れた。その中で富士宮若信忠は久遠寺に篭り北条側の者を追放し義元様に忠誠を誓った。北条は反今川である遠江の堀越と結び今川家の圧力を分散させようと画策した。これにより義元様は氏綱の思惑通り戦力の分散を余儀なくされたのだ。」
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