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「さてここで武田と北条の和睦により取り残されたのが我らが今川家。三河の方では尾張の織田弾正忠信秀が弱体化した松平家を攻撃し安祥城を攻略してしまい東ばかりに目を向けて居られなくなった。だが武田の北条和睦を裏切りと見なし義元様は信虎を恨んだ。表には出してないがな。だから晴信の謀反に加担した。」
「謀反って駿河に来た信虎…お爺様と言った方が良いな。お爺様が帰るとき今の武田当主の晴信が帰れないように重臣たちと共謀したって奴だろ?」
「そうだ。信虎の専横を嫌った重臣板垣信方が同じ重臣の甘利虎泰、飯富虎昌と共に信虎殿に嫌われて居た武田晴信殿を担ぎ上げ駿河に居た信虎殿を甲斐に戻れないようにた。義元様は何も知らぬように取り繕ったが事前に武田側から知らせがあった。義元様は信虎に対する仕返しに丁度良いと晴信らの策に乗ったのだ。義元様の命でワシと岡部親綱の息子である岡部美濃守久綱が信虎の隠居地を手配した。」
「やっぱ父上も絡んでいたのか。お爺様が来た時俺も挨拶したなぁ。凄い怖い顔だった。」
「追放されたのだから不機嫌な顔をするのは当たり前だがお主が見たあの顔はおそらく素だ。」
あれが素なのか…あまりに厳つい顔だったから声も体も震えてしまっていた。思い返しても恐ろしい顔だった。
「さてここまでかの。これでお主も義元様のことはよく分かったな。」
「うん。ありがとう雪斎。」
「では授業の再開を」
「お取り込み中申し訳ございません」
雪斎が俺に死の宣告をする前に正俊が戸を開けた。いやぁ助かったよ正俊!お前が割り込まなかったら俺は間違いなく死んでいただろうからな!
「あ、授業の最中でしたか。失礼いたしました。しかし義元様が龍王丸様をお呼びになっておりましたので。」
「義元様が…なるほど分かった。龍王丸、今日のところはこれで終わるが明日から更に厳しくなること覚悟せよ。」
「うむ分かった!今日はありがとう雪斎。よし行こう正俊!父上の元へ。」
父である義元のお呼び出しとあり雪斎も引き下がった。俺は声を弾ませなが雪斎に挨拶をし部屋を出た。しかし俺を呼び出すって一体なんのようなんだ?疑問に思いながら正俊と共に義元の元へ向かった。
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