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(ちょっと仲が悪すぎやしませんかね。)
俺は自分の側につくものがどんな奴か見ていたが朝比奈左京亮と三浦右衛門の仲が悪すぎる。片や今川を支える譜代筆頭格の家の息子。片や三河の代官の息子であり親のエゴで養子に送られた者。本来共に並ぶ筈がない二人だ。しかもお互い忠誠心が高いように見える。だからこそタチが悪い。蒲原三郎左衛門は我関せずの立場にありその分由比源左衛門が二人を諌める。いやよく見たら三郎左衛門が源左衛門に
「無駄だから止めよ。」
って言ってるな。うーんこのギスギス感。義元は何故この者を選んだのか。もしかして俺が地位とか関係なく有能な者を登用するって言ったから本当に可能かを試すためにこの四人にしたのか?だとしたら中々意地悪いな。と思いながら義元の方を見ると。
(まさかここまで仲が悪いとは思わんかった)
って顔をしていた。おいマジかよ。ちゃんとしてくれよ今川家当主今川治部大輔義元様よー。だがとりあえず二人の喧嘩を止めねばならない。源左衛門がなんとかいさめようと努力してるが収まりそうにない。源左衛門が可哀想になって来たから止めることにした。
「お主ら止めよ!」
俺は大声を上げた。二人は喧嘩をやめこちらを見た。
「左京亮。そのようなことで腹を立てているようでは掛川朝比奈の当主に相応しくはない。気に入らないとしても顔に出さず堪えることを学べ。右衛門。お主も左京亮を煽るのは止めよ。そのようなことをしても惨めになるだけだ。左京亮を見返すために煽る以外でなにかしてみよ。三郎左衛門。お主は一門の家の者だが今は同じ近習だ。いや一門の家の者であるこそ我関せずの立場をとるのではなく喧嘩を止めるのに尽力するのではないのか?無駄だから止めよというのではなくお主が真っ先に止める立場であろう。違うか?積極的に喧嘩を止めようとした由比源左衛門を除くお主ら3名からは本当に今川に私に忠誠を誓ってくれるのかどうか私は疑問に思ってしまった。そのような有様では私はお主ら三人を近習とするのを断りたいと思う。良いか?」
俺の叱責に三人は顔を青くした。三郎左衛門はまさか自分まで叱責されると思ってなかったのか特に動揺しているように見えた。そこに義元が
「このような有様では近習どころの話ではないな。とりあえず由比源左衛門のみ近習とする。ということで良いかの。」
と追撃を加えた。
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