山本勘助

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「ホラではありません!俺は兵法を極め城攻め、築城に心得があるのです!」 「勘助殿落ち着いてくだされ。龍王丸殿はまだ子供でありますし今川家中でのお主の評判はホラ吹きということになっているのです。」 (くそっ奴ら俺の話をまともに聞かずホラ吹きと決め付けおって) 勘助は氏真の言葉に腹を立て語気を荒げだがそれを庵原忠胤が諌めた。 忠胤に諌められた勘助は表向き落ち着いたように見せたが内心まだ怒っていた。一方龍王丸の方は怒気に怯んだがその後勘助に 「い、いやすまない。今川家中ではホラ吹きとか不気味な男くらいにしかお主に対する話を聞かんのでな。だがそこまで怒るということはさぞ自分の才に自信があるのだな。」 「当たり前です!実際に兵法で2.3度手柄を立てたことはあった。しかし奴らはそれすら認めなかったのです。」 氏真の問いに勘助は怒気をはらませながら語った。龍王丸は話を聞きながら心の中で (やっぱり山本勘助だ! 武田信玄の軍師として活躍したと聞いたがまさか今川家にいたとは思わなかったなぁ。見た目や郎等がいないだけで話を聞かずホラ吹き扱いしたから勘助は武田に向かったんだな。だがこの世界では違う。俺が勘助を登用すれば今川家の為にもなる。) 「ならその話をして欲しい。それを書に纏める。そして出来た書を見せればきっと父上も考えを変えていただける筈だ。」 「なるほど。良い案ですね。良いでしょう話しましょう。しかし書というが紙はあるのですか?」 勘助は龍王丸の案に乗り気だったが紙について聞いた。 すると氏真は 「紙ならある。他のものには兵法書を写し覚える為と偽り持って来てある。今は忠胤に持たせてあるがな。」 と言った。 たしかに忠胤の手元には本の様なものがあった。 「ちなみに写すのは忠胤がやる。父上に報告されてはかなわんから忠胤も巻き込む。私はお主の話を聞くからお主は思う存分語って欲しい。まぁ一日で終わるとは思っておらんし長くここにいると正俊らにばれてしまうからな。本格的に行動するのは明日からだ。良いな?」 「分かりました。思う存分語るとします!写しは任せましたぞ忠胤殿!」 「は?え?わ、分かりました。」 忠胤は困惑したがこうなった以上参加するしかない。こうして龍王丸と山本勘助による勘助の士官の為の作戦が開始される。
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