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3ヶ月のすれ違い
もう小一時間ほど、凌辱の時間が続いている。
自室のベッドの上、一糸纏わぬ姿でうつ伏せにされた三条怜はシーツの皺を手繰り寄せた。背後には恋人の瀬波仁が膝立ちで覆いかぶさっている。
「もっと腰あげろ」
「……あっ!」
這いつくばるような恰好のまま腰を持ち上げられ、中に受け止めていた欲望が内壁を擦る。快楽の波に流されそうになって怜は唇をかみしめた。
ベッドについた肘がガクガクと震える。
「……っ」
体勢を変えようと身体を持ち上げると、強い力で押さえつけられる。
瀬波が首筋を舐めるように囁いた。
「逃げるなよ、怜」
「やっ…、あっ――!」
戒めと言わんばかり腰を突き上げられ、怜は折れるようにシーツの波に落ちた。栗色の髪が跳ねる。身体の奥に挿れられた熱いものが、内壁を擦り、無慈悲に快楽を引きずり出していく。
こんな情交の時、怜は無条件に瀬波のすべてを受け入れなければならなかった。
男らしい黒い髪に、漆黒の瞳。夜景写真家の瀬波は、普段から重い機材を扱っている所為か、冒険家さながらの体格をしている。
一方、グラフィックデザイナーの怜は、その真逆だ。
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